2012年12月12日
今秋のロンドン・ファッション・ウイークのショーを見たり、ショー後にキャットウオークを歩いてみたりして、長年、ファッションショーに抱いていた疑問が氷解した。
1番の謎は、モデルは「なぜ無愛想な顔で歩くのか」だったが、次々に登場するモデルのうち1人だけが子犬を連れて歩いたことがヒントを与えてくれた。
かわいい犬と一緒だと、モデルも自然と表情が緩み笑顔になる。すると、もとが美人なだけに観客の視線は彼女の顔に引きつけられてしまうのだ。気づくと、最新の服のデザインはまったく印象に残っていない。これでは何のための、ショーなのか分からないというわけである。
もう1つの疑問は、ハイヒールで「カツカツ」と音がしそうな歩き方をして、滑らないのか、だった。
だが、これもキャットウオークを歩いて見ると、簡単だった。何か分からないが粘着質の物がわずかに壇上に塗ってある。さらに、台自体がほんの少し、たわむようになっていて足が床になじみやすくなっている。意外に歩きやすいのだ。
と、さも事実を突き止めたかのように書いたが、ただの独断。ロンドン特有のいいかげんさで、清掃がまずいためにねとつき、古くてゆがんでいただけなのかもしれないのだが…。
(有賀信彦)