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ロンドン 紳士の国裏表あり?

2013年01月12日

 ビール醸造過程で得られる副産物の「マーマイト」は、茶色いペースト状で、英国独特の食品だ。クリスマスを控えたロンドンの大通りで、その試食品が配られていた。街頭配布する人の頭上には、あまりのまずさに噴き出しているサンタクロースを表現した電飾が光っていた。

 いかにも英国らしいユーモアだが、この宣伝手法は、英国人の特徴の一面を表しているのではないかとも思った。それは、矛盾する行為を同時に見せる傾向だ。

 よく見かけるのが、横断歩道の信号ボタンを押すだけで立ち止まらず、迷わず赤信号の歩道を渡っていく通行人。渡り切っても、信号はまだ青色になっていなかったりする。

 信号がよく守られるデンマークでも、知人の英国人は「恥ずかしい」と言いながら、やはり赤信号の横断歩道を渡っていた。

 そうした奇妙な光景を思い出し笑いしていると、自宅近くの歩道で、犬のうんちが入ったビニール袋を街路樹の根元に見つけた。

 ビニール袋は、回収するのが目的のはず。放置するのなら、袋は必要ない。それが次の木にも、またその次の木にも置いてあった。とても気まぐれには見えない。

 行為の手口からみると“犯人”はきっと英国人-。この推理は偏見に満ちている? (有賀信彦)