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杭州 草の根友好アシスト

2013年01月21日

 「文明が滅ぶ時というのは、ポピュリズムが広がり、声の大きな人、過激なことを言う人がだんだんのし上がって来るんですよ。なんか、似てません? 今」

 サッカーの中国スーパーリーグ「杭州緑城」の監督として1シーズンを闘い終えた岡田武史・前日本代表監督(56)に取材すると、話題が文明論、平和論にまで及んだ。

 読書家の岡田監督は、過去の戦争はちょっとしたきっかけで起こってきたと分析。今の日中関係の悪化を、子どものころの思い出になぞらえてみせた。

 「幼稚園でガキ大将だったから砂場で『ここはおれの領土だ』って言っていたら、先生に『どうやったらみんなで楽しく遊べるか考えなさい』ってすごく怒られた。それと一緒のことなの。話し合うしかないんですよ」

 岡田監督は今シーズン、決して満足のいく結果を残したわけではないが、選手やサポーターの信頼は獲得した。迷った末に来シーズンも指揮を執ると決めたのは、「日中関係がこんな時に帰るわけにいかない」という気持ちもあるという。

 「こうやってポピュリズムになってくると、特に、何が解決の糸口になるかというと、グラスルーツ(草の根)の人と人のつながりだと思う」

 岡田監督の「草の根」の挑戦を応援したい。 (佐藤大)