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ソウル 新年のおいしい同居 

2013年02月11日

 当地では、伝統料理のもちスープ「トック」で、新年を祝う。

 もちは、もち米ではなく普通の米で作る。ラーメンに入れるナルトのように楕円(だえん)に切り牛肉や鶏肉(もともとはキジ肉だったとか)でとったスープで煮る。

 日本のもちと比べると粘りが少ない分、煮くずれしにくい。だから表面は滑らかさをキープし、つるんと舌の上を滑る。堅さも保たれ、かみ切るときは「もっちり」したという言葉以外浮かばない食感だ。

 うれしいことに、トックは思い立った時にすぐ食べられる。街の食堂の定番メニューだし専門店も。日本では「今日は雑煮の気分だな」と思っても、正月以外は外で探すのは容易ではないだろう。

 どうしても季節感を大事にしたい人も大丈夫。韓国は陰暦(旧暦)の1月1日(今年は2月10日)を新年として祝う上、陽暦(新暦)の1月1日も新年扱いだから、「2つの正月」の間は堂々と食べられる。

 伝統と緩やかさの同居は、今の韓国の魅力の1つだと思う。

 そういえば年越しそばとして食べた「オンメミル(温かいそば)」には、天かすと油揚げが乗って出てきた。タヌキとキツネの同居。多少の違和感も感じたが、おいしいから、これでいいのだ。 (篠ケ瀬祐司)