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モスクワ 子の教育頭痛のタネ

2013年02月18日

 最近酒席で、同席したロシア人男性と、子弟の教育論で議論となった。彼は「娘は女子校に入れる。優秀な子に育てたいからだ」と主張した。

 よくできる子、勉強が苦手な子、悪ガキ、おとなしい子、体が不自由な子らが入り交じる、地方の共学の学校で育った記者は、共学支持派。お嬢さま学校の印象がある女子校に、中学生となった自分の娘を通わせたい願望が無かったわけではないが、「いろんなタイプの子どもの中でコミュニケーション能力や人間力を高めるべきだ。学力は後でついてくる」と言い張る共学支持派の妻の受け売りを、持論のごとく披露して対抗した。

 帝政ロシア時代の学校は男女別が一般的だったが、旧ソ連時代にはこれが古くさいと考えられ、現在のロシアでは共学が主流だ。しかし、ロシアの教育学者が提唱する男女別の教育理論を実践するシベリア地方ジェレズノゴルスクの小学校では、モスクワの有名大学に進む優等生が共学の20~30倍誕生し、男女別での教育熱の高まりを後押ししそうだという新聞記事を最近読んだ。

 何かを成し遂げ、納得した人生を過ごしてほしいと自分の子どもに願う気持ちは、ロシアも日本の親も変わらない。結論が出ない議論の上に、酒が回り、激しい頭痛に見舞われた。(原誠司)