2013年02月25日
「五毛(ウーマオ)! 五毛! 五毛!」-。
中国広東省広州市の週刊紙「南方週末」本社ビル前で8日、大合唱が巻き起こった。
ビル前には、同社の記事が当局の指示で差し替えられた問題に抗議する市民が集まっていた。そこへ突然、中国国旗を持って「共産党を支持する」「西洋化にあらがえ」とビラを持った数人がやってきたのだ。
五毛は人民元の単位で、一元(約14円)の半分。中国共産党に有利な内容をネット上に書き込み、1回五毛を得る匿名集団が存在し、それが「五毛党」と呼ばれる。転じて、五毛は「共産党のイヌ野郎」といった侮辱の意味で使われる。
本社ビル前の市民らは財布から五毛札を取り出し尻をぬぐうしぐさをして嫌悪感を表現した。党支持者はわきへと追いやられた。多くの庶民が党を支持していない中国の現状をあらためて実感した。
抗議に訪れた市民の大半は、大学生と元記者だった。本社ビル前に並べられた支援のビラには、中国の行く末を憂う文言が並んだ。習近平総書記は、地方視察でのシングルルームへの宿泊や水筒の持参で庶民との距離を縮めようと必死だ。だが、小手先の演出よりも、抗議の声を聞きに来たらどうか。切実な叫びに触れ、そんな嫌みを言いたい気分になった。(今村太郎)