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台北 新年へ1文字の希望

2013年02月26日

 台湾は旧正月(春節)で新年を祝う。今年は2月10日が元日で、今はまだ年末。大学は前期の期末試験を終えて休暇に入った。記者は週に1日だけ、ある私立大学で日本語を教えており、ようやく期末試験の採点を終えたところ。その期末試験で「今年の台湾を代表する漢字を選び、その理由を書きなさい」という問題を出した。どんな答えでも書けば点はとれる。サービス問題のつもりだ。

 年末に発表になった日本の「今年を代表する漢字」は「金」だったが、実は台湾でもネット投票で同様のイベントを地元新聞社が実施しており、12月下旬、「憂」が選ばれた。ベストテンに入った漢字はほとんどがマイナスイメージのもの。では学生たちはどう思っているのか-試験問題にしてみた。

 答案をみると、ネットでも選ばれた「憂」のほか、「苦」「惨」、値上げを意味する「漲(ちょう)」や政治家を罵(ののし)る「笨(ほん)」(ばかの意味)など。若者は時勢に敏感なのだろう、やはりマイナスイメージのものが多かった。

 そのなかにこんなのも。「新しく出直して一から始める年だから『始』」「政治も経済も改革が必要だから『改』」。現状否定ではあるが、それでいて若者は将来にまだ希望を持っていて前向きだ。うれしくなってきた。

 (迫田勝敏)