2013年03月17日
バンコクの屋台で食事をしていると、首から木箱をぶら下げた宝くじ売りのおばさんがよくやってくる。客はきれいに並んだ宝くじを熱心にのぞき込んでいる。お気に入りの番号を探しているのだ。
タイ人は大の宝くじ好きだ。毎月2回の抽選はテレビで生中継される。賞金は一等200万バーツ(630万円)から五等1万バーツまで。はずれても下3桁が当たると2000バーツ、下2桁だと1000バーツがもらえるので、市民はその数字選びに熱中する。
「最近、人気の数字はバレンタインデーの14。国王と王妃の誕生日や111、77などは昔からよく売れる」と言うのは28年前から屋台で宝くじを売るモンコンさん(58)。2年前にタイで初の女性首相が誕生したときは首相の年齢44のぞろ目が飛ぶように売れた。
タイでは政府宝くじ局がくじをまとめて仲買人に卸し、小売業者が利益をのせて売るため、人気くじは高値で売れるのが日本と大いに異なる。卸値は同じ番号の2枚1組が80バーツだが、人気くじは120~130バーツの値がつく。
5のぞろ目を120バーツで買ってみた。番号をじっくり選ぶうちに当たる気がしてくるのがタイ式の魔力だ。30年以上買い続けているという支局運転手のトビンさん(57)は「1000バーツや2000バーツがまれに当たるだけ。でもこれからも買うよ」と楽しげに宣言した。 (杉谷剛)