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北京 支援で空気良くして

2013年03月24日

 五歳の娘が最近、朝起きると必ず妻の携帯電話をのぞくようになった。見るのは決まって、大気汚染度を示すアプリ(応用ソフト)。最も空気がいい「葉っぱマーク」から、最も悪い「骸骨マーク」まで六段階のうち、どれが出るかを確認しては一喜一憂している。

 汚染度が高い時は、必要がなければ極力出掛けないようにさせる。出掛けるとしてもマスクは必須。空気清浄機の準備も始めた。あまり過敏になり過ぎても、と思いつつ、吸い込んだ粒子が蓄積されれば将来に影響すると言われると、できる限りのことはしたいとも思う。

 ところが街で、マスクをしている人は実は多くない。大気汚染のニュースを伝えようと、天安門広場でマスク姿の写真を撮影したが、マスクを着用している人は少数派だった。空気の悪さへの不満は共通していても、健康への影響という点では日本人と中国人に感度の違いがある。これは両国のメディアの報道ぶりの違いによるところが大きい。

 現地にいる者からすれば、日本側から支援の動きが出ていることは、理由はどうあれ、ありがたいことだ。ネット上では領土問題に絡めて支援に反対するような意見も出ているが、数々の公害を経験した国として、惜しみなく技術を提供することが「大人の対応」というものだろう。 (佐藤大)