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ベンガジ 胸張れる国自ら築く

2013年04月08日

 夜空を照らす無数の花火。自由の味をかみしめ、新国旗を打ち振る市民らの車列が、通りを埋め尽くした。

 リビア北東部ベンガジ。42年間のカダフィ独裁体制を崩壊させた民衆蜂起の震源地だ。2月中旬、2周年を祝う式典があった。

 2年前、最初のデモに参加した大学生アイユームさん(24)は「体制打倒か、自分が死ぬか。どちらかだった」。デモが鎮圧されていれば、逮捕されて命も危うかっただろう。

 ベンガジ地方評議会メンバー、アブドラさん(34)は、人々が自由を求めて一歩を踏み出したあの日の空気を覚えている。最初は数えるほどだったデモ参加者が、数100人に膨れ上がったという。

 かつて、外国を訪れた際、リビアのイメージがいかに悪いか知った。憲法も議会もなく、誰もが思い浮かべるのが、奇抜な言動でしばしば国際社会を困惑させた、最高指導者カダフィ大佐の顔だ。

 海外で「リビアの大学を卒業した」と話すと、現地の女性に「大学なんてあるの」と真顔で驚かれた。あの時の悲しみ、惨めさ。「国を発展させ、外国人から尊敬されるように再建するのが夢。いつか胸を張ってパスポートを示したい」

 国づくりは、さまざまな難題に直面している。だが、歴史を動かした若者たちがきっとやり遂げるだろう。 (今村実)