2013年04月10日
山東省の省都、済南から青島に列車で移動しようと済南駅に着くと、春節(旧正月)休み明けで故郷から戻ろうとする学生らで駅は大混雑。切符窓口も長蛇の列でうんざりしたが、今夜中に移動しないと翌日の取材に差し支えるので覚悟を決めて最後尾についた。
1時間ほどかかってもうすぐ購入できる順番まで来た時、突然年配の男性が割り込んできた。中国では珍しくない光景だが、列の後ろから「割り込むな」と怒号が響いた。
男性は気まずそうな顔をしながら障害者手帳を示したが、叫んだ学生らしき男性は「障害者だから何だ。割り込んでよいのか」と納得いかない様子。窓口の女性駅員までも「何で割り込んだんだ。障害者は専用窓口へ行け」と冷たい仕打ち。あまりの混雑ぶりに皆殺気立っていたようだ。
買おうと思っていた夕方発の列車はすでに売り切れ、夜遅くの列車しか残っていなかった。20年ほど前、中国国内を1人で旅をして、地方の駅でなかなか切符が買えなかった時の苦労を思い出した。
駅を出ると、そばのホテルに「切符代理販売」の看板が。ここでも購入できることを初めて知ったが、窓口には1人の客もいなかった。並ばずに買えるのに誰も知らない、こんなところも20年前から変わっていない。 (新貝憲弘)