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ワシントン ノリノリ♪レジ募金

2013年05月13日

 週末の夕方、首都郊外の大型スーパーのレジは長蛇の列だった。皆、カートにどっさり食材を載せて順番を待つ。どこも変わらない忍耐の必要な時間だ。

 ようやく順番が回ってきた。すると、レジの黒人女性が「お店では今、障害のある人の生活を支援する寄付を募ってるの。寄付しますか」と聞いてきた。反射的に「はい」と答えると、「いくらにしますか?」。よく分からないまま、「5ドルで」と応じた。

 すると、女性は突然手元の全館放送のマイクを手に取ると「いま!5ドルの寄付を男性のお客さんから頂きましたっ!フウッ♪」。最後は裏声で片手を突き上げ、ロックスターのよう。

 気付くと別のレジでも「フウッ♪」が時折出ていた。売り場に響き渡るノリノリぶりは、多様性をのみ込む米国であっても違和感があるようで、他の買い物客も苦笑い。

 日本でもコンビニやスーパーの店頭に募金箱が置いてあるケースはよくある。しかし、レジ係が直接寄付を呼び掛けることはまずないし、裏声で絶叫はあり得えないだろう。

 受け取ったレシートにはレタスなどと並んで「障害のある人への寄付 5ドル」とちゃんと加算されていた。面食らったが、いろいろな寄付の形があるのも悪くない。 (斉場保伸)