2013年05月28日
ロンドンのスーパーをのぞくと、米国とかなり、品ぞろえが似ている。2つ買うと何ポンドといった割引商法も同じだし、電子レンジやオーブンに入れるだけの食品もかなり充実している。
1つだけ、趣が異なるのは、鮮魚コーナー。並ぶのはカレイやシーバス、ニジマス、タチウオ、タラ…。日本人にもなじみのある魚ばかりで、魚売り場が貧相なニューヨークとは雲泥の差なのだ。
その中に、正体不詳の魚がいた。「薫製のハドック」と表示されており、辞書を引くとタラ科の一種とある。白身のはずだが、身は鮮やかな黄色。着色なのか薫製のせいなのかよく分からず、まだ手が出せずにいる。
20年ほど前に読んだ林望氏の「イギリスはおいしい」に、魚に関する1章があり、イギリス人はサバを丸ごとゆでて食べると書かれていた。「イギリス人はサバを食べるのか」。妙な取り合わせだなと思った記憶がある。
ロンドンに来て1カ月。いろいろなスーパーの魚売り場を訪ねた。確かにサバがある。しかもお値打ちだ。
お世辞にも新鮮とは言えないサバをシゲシゲと眺める。それには訳がある。林氏が本の中で絶賛しているサバの薫製を探しているのだ。だが、日本人の舌にも合うというその薫製には、まだ出会えていない。 (石川保典)