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ペタルマ 不格好でも1番好き

2013年07月31日

 サンフランシスコ郊外の町ペタルマで1976年から続く「最も醜い犬のコンテスト」が今年も行われた。毛並みが悪いどころか、毛のない犬。舌が口からベロンと大きくはみ出したままの犬。大病を患ったかと思うような、やせてしわくちゃな犬。しかし、不格好ではあるがいずれも健康で、飼い主からすればかわいくてしょうがない犬たちだ。

 町の小さな催しとしてスタートしたコンテストは、初夏のカーニバルの目玉の1つに成長した。年によっては他国からの参加もあり、今や「世界大会」をうたっている。今年はカリフォルニア州外からの参加も含めて30匹が集まった。総じて小型犬が多い。

 純血種、雑種の2部門の1位同士が決勝に進み、観客の拍手の大きさも考慮に入れてチャンピオンが決められる。今年はボクサーの雑種の4歳の雄が優勝した。頭でっかちでごつごつした体つきだ。

 モヒカン刈りのようなわずかな毛が生える犬を連れて出場した男性は、自分の頭も犬そっくり。「犬に合わせた髪形にしているのか」と尋ねたところ、「コンテストの時だけだ」と言って、犬を抱きしめていた。

 どの愛犬家も、順位は別として自分の犬が1番いい犬だと思っているかのような晴れ晴れとした表情で、カーニバル会場を闊歩(かっぽ)していた。(岡田幹夫)