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ノバラ 介護の依頼早すぎた

2013年08月16日

 一時はイタリア1部リーグ(セリエA)に昇格し、日本人選手もやってきたサッカーチームがある地方都市ノバラ。

 30年前、初めて訪れたころは、水田に囲まれた眠っているような静かな街だった。これといった目立った活動もないが、穏やかで落ち着いた市民生活は、にぎやかな東京から来た身には、貴重に思えたものだ。

 商業の中心地ミラノから西へ小1時間の距離にあるノバラは、今やミラノのベッドタウンと化している。郊外にアパートが次々と建設され、市街地の様相は一変した。街の中心部にはブランド店が並び、しゃれた雰囲気を漂わせている。

 一方、裏通りを歩くと、出会うのは移民の方が多いくらいだ。スラブ系やバルカン半島からの移民、アフリカ系の移民親子。アジア系で目立つのは、中国人青年の姿だ。彼らは人手の足りない高齢者の介護役など、社会を支える働き手として重宝されているのだ。

 1人暮らしをしている90歳になる義母をいずれ世話してもらうのも、こうした移民女性の誰かかも知れない。それとなく打診すると、「もっと旅行がしたい!」とにべもなく一蹴されてしまった。

 これからアドリア海沿岸での避暑を楽しみにしているのだ。「いますぐ」のお願いと取られたらしい。(佐藤康夫)