2013年09月06日
デパートや高級ホテルが立ち並ぶバンコクの中心街に1日中線香の煙が立ち上り、大勢の人でにぎわう一角がある。どんな願い事でもよくかなうと評判のエラワンのほこらだ。
熱心な仏教国タイは民間信仰も盛んで、街のあちこちに神や精霊を祭るほこらがある。中でもここは観光スポットにもなっていて、国内はもとより海外の旅行者もやって来る。高さ約3メートルのほこらに鎮座するのは四面の顔を持つヒンズー教の神ブラフマー。その場で花、ろうそく、線香のセットを買い、ほこらを一周しながら四方向で手を合わせる。
「仕事上の願いがかないました」とお礼参りにきた女性ミントさん。会社で希望ポストに昇格したそうだ。友人のバードさんは「初めてきたときは宝くじが当たったけど、最近は願いが大きくて実現しません」。それでも楽しそうだ。
願いがかなったらお礼にタイ舞踊を奉納する習わしがある。踊るのは伝統衣装をまとった踊り子さんで、値段は踊る人数により2人260バーツ(780円)~8人710バーツ。そばで見るのはタダだ。莫大(ばくだい)なお布施は慈善事業に使われる。
雨模様でも奉納踊りは盛況だった。踊りの数だけ願いがかなったのだから、やはり信じる者は救われるということか。美しい踊りに見とれながら、ふと、そう思った。 (杉谷剛)