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ワシントン 主張を刻むプレート

2013年09月09日

 手続きが整って、仮ナンバーだった取材用自動車の正式なナンバープレートが届いた。ナンバープレートはデザインが州ごとに異なる。番号のほかに、フロリダ州はオレンジのイラストと「サンシャイン・ステート」という文字、マサチューセッツ州は「米国の精神」と書き添えている。ワシントンDCの場合「代表なくして課税あり」と皮肉を込めた主張を刻んでいるのが特徴だ。

 米独立革命の初期、英国が植民地に数々の税金を課したのを「英議会に代表を送っていないのに課税するのはおかしい」として「代表なくして課税なし」と訴えた有名なスローガンをひねっている。特別区であるワシントンを州に昇格させ、課税に見合った他州と同様の議席を求めているのだ。

 ブッシュ前大統領は地域政治色の強いメッセージを嫌い、このナンバープレートを大統領専用車から外させていた。それをオバマ大統領は今年2期目に入るのを機に再び取り付けた。側近は「大統領はワシントンに4年住んだ。住民の一人として付けることを決めた」と説明する。

 ただ、大統領も支持しているとはいえいや応なしに「州昇格」を訴えて国中を走る一員に加わってしまったことに違和感があるのは事実だ。嫌なら返せと言われると困るけれど。 (斉場保伸)