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北京 日中学生温かい交流

2013年10月02日

 冷え込んだ日中関係とは全く異なる空間があった。8月に北京の日本大使館で開かれた日本語スピーチコンテスト。140人もの中国人大学生たちが「私の好きな日本」をテーマに発表した。

 人気のある俳優やテレビドラマ、アニメなどは予想の範囲内だったが、他に挙げられたのは「まじめさ」や「謙虚さ」、忍者、俳句、小野小町まで実に多種多様。日本の若者にはあまりない興味の持ち方が新鮮だった。

 中国に留学中の日本人学生約10人も参加し、中国語でスピーチを披露した。中国人の特徴を冗談めかして話した学生は中国人学生の爆笑を誘い、緊張から話すことを忘れてしまった学生には、励ましの大きな拍手が湧いた。事前の合宿で交流を深めてきたからだろう。そこには温かな空気が流れていた。

 少なくない日中の学生が、マスメディアを通じて持っていた互いの国への悪い印象が今回の交流で一変したという。コンテストを企画した日本語教師の笈川幸司さん(43)は、助け合う日中の学生の姿を見て心から喜ぶ一方で、次のようにも話した。「日中双方が互いに相手にいい印象を抱いていないのは、両国のマスメディアの影響が政治以上に大きいからでは」

 両国のメディアは実像を伝え切れているだろうか。自戒するしかない。 (佐藤大)