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ソウル 民族象徴「アリラン」

2013年11月01日

 同じ曲を題材にした演奏が約2時間。予想に反し、全く飽きない内容だった。

 朝鮮半島を代表する民謡「アリラン」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録を記念し、ソウルでコンサートが開かれた。

 「アリラン アリラン アラリヨ」と少し寂しげな曲。「ご当地物」も含め、交響曲や伝統楽器と踊り、アップテンポの演奏など14のスタイルで表現されたアリランは、みな聴き応え十分だった。

 2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の際も、アリランのロック調応援歌で盛り上がった。北朝鮮のマスゲームのタイトルも「アリラン」。アリランへの思い入れは民族共通なのだろう。

 コンサートのパンフレットには、アリランが広まったのは、日本の植民地時代の1926年の映画「アリラン」の役割が大きいとある。独立運動にかかわり拷問で精神を病んだ主人公が、別の事件で警察官に逮捕・連行される。そこでアリランが流れ「民族の置かれた立場を象徴する歌と感じられる契機になった」と解説している。

 「私を捨てていく人は すぐに足が痛くなる」とのアリランの歌詞にどきっとし、愛される理由を読んでどきっ。韓国での生活はもうすぐ丸6年になるが、まだまだ、どきどきすることばかりだ。 (篠ケ瀬祐司)