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北京 「祝意」もそっけなく

2013年11月11日

 中国外務省の定例会見内容はホームページで閲覧できる。しかし中国政府に都合の悪いやりとりは「省略」されたり、「修正」されたりする。2020年の東京五輪開催の決定もその1つだ。

 まず実際のやりとりから。1人目の記者が「東京五輪開催をどう評価するか」と質問すると、報道官は「国際オリンピック委員会の決定は知っている」とひと言だけ。このため2人目の記者が「今の日中関係の状況をかんがみてどう思うか」と聞くと、報道官は「日本は歴史と現実を正視し、中国の領土主権侵害を止めなさい」などといつもの日本批判を展開。北京五輪の時に「スポーツと政治は別」と強調した姿勢を忘れたようだ。

 さらに「中国は日本に祝賀の意を示したのか」との質問には「中国オリンピック委員会に聞いてください」。あまりの対応に会見後「祝いの言葉1つ言えないのか」と憤る記者もいた。

 一方「公式記録」では、さすがにまずいと思ったのか「中国オリンピック委員会は東京五輪開催に祝意を表した」と「修正」。他のやりとりはすべて「省略」されていた。

 外交関係が悪化している日本を素直に祝いたくない気持ちは分かる。だが、あまりにも子供じみた対応の1つ1つが不信感を強めていることを認識してほしい。 (新貝憲弘)