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サンフランシスコ 亡き友とセッション

2013年11月20日

 隣家の夫婦はともにミュージシャンだったが、ドラマーの夫ポールが半年前に亡くなった。9月になってお別れ会が行われた。夫人はベースギターの奏者だ。

 会場となった近くのホールには、70人ほどが集まった。その多くはサンフランシスコ周辺の音楽関係者。ポールは71歳だったので、集まった人たちも70歳前後が多い。

 予定時刻前に会場に入ると、ワインなどを手にして旧交を温める輪があちこちにできていた。ホールの隅でトリオがジャズを流している。使っているドラムのセットはポールのものだという。亡くなった彼も旧友の輪に加わっているということか。

 牧師がマイクの前に立つと、会場は静かになった。ポールを長く知っている牧師で、聖書を朗読することもなく、肩の凝らない思い出話だけで終わった。

 夫人と娘たちには涙ながらの話だったが、その後をまたジャズ演奏が引き継いだ。参列者の中に楽器を持参した人たちがいて、入れ代わり立ち代わり即興演奏が続いた。ポールと一緒に演奏した仲間たちだ。

 1曲だけ曲名がアナウンスされた。「セブン・ステップス・トゥー・ヘブン(天国まで7歩)」。仲間たちが先立ったポールに向かって語りかけるような演奏だった。(岡田幹夫)