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ソウル 混ぜておいしさ倍増

2013年12月03日

 キムチチゲ(キムチの鍋)を食べようと思っていても、他の客が食べていたら、つい注文してしまうのがチョングッチャンチゲだ。

 香りに強い求心力がある。大豆を発酵して作ったチョングッチャンと豆腐、野菜を煮た鍋からは、大好きな納豆と似た香りが立ち上る。熱々をスプーンですくい、ご飯と一緒に食べる。滋味深く懐かしい味に目が細まり、ほおが緩む。

 ふと手を止めて考えた。この鍋に納豆を入れたらどうか。思い切り糸を引いた納豆と、チョングッチャンのハーモニーを楽しめるに違いない、と。

 混ぜてみたいと思い付いたのには訳がある。先日、ソウルで開かれた日韓の文化交流イベント「日韓交流おまつり」で、日本の和太鼓グループと韓国の打楽器グループによる、見事な共演を聴いたからだ。

 和太鼓と、韓国のチャング(鼓の一種)やケンガリ(小さな鉦(かね))などとは音色もリズムも違う。合同練習はわずかな時間だったという。それでも演奏者らは、お互いの目を見ながらテンポを合わせて、元から一つのグループだったような調和のとれた音を響かせていた。

 似た点も違う点もある日本と韓国。お互いの良さを尊重し合いながら、「混ぜたおいしさ」を増やしていけたらすてきだ。 (篠ケ瀬祐司)