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ドーハ 名案? W杯冬開催へ

2013年12月09日

 国土の大半が砂漠と荒野に覆われ、夏場の最高気温は50度に達する。サッカーの2022年ワールドカップ(W杯)をホストするカタールのことだ。

 開催期はこれまでのW杯と同じく6~7月の計画だが、酷暑を懸念する国際サッカー連盟(FIFA)がこのほど、冬への開催時期変更に動き始めた。

 くしくも今年6月、取材で首都ドーハを訪れた。肌を焦がすような日差しは容赦がない。その時期特有の強風も厄介だった。砂漠からの砂が舞い、目がしょぼしょぼ。仕事以外では全くホテルを出る気になれなかった。

 3年前、カタールはW杯で使用する全12の競技場内を、気温27度以下に保つ冷房設備の導入構想を掲げて大会招致に成功。夏開催に自信を示すが、現地で抱いた感想を言えばFIFAの変更案に大いに賛同する。

 世界中から観光客が集まるスポーツの大イベントの価値は、試合観戦だけではない。大会各地で多様な人間が触れ合い、開催国の風土や習慣、文化を知ることも魅力だ。

 開催時期の変更は、各国リーグや22年冬季五輪の日程、テレビ放映権などの利害が絡む。一筋縄にはいかないが、第一に考えるべきは、中東初のW杯をいかに輝かせるか。冷房がきいた施設の中だけでは、せっかくの旅情を味わえない。 (小杉敏之)