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ワシントン 政府閉鎖のおかげで

2013年12月19日

 スミソニアン博物館の航空宇宙博物館、リンカーン記念堂、国立動物園…。首都ワシントン観光の目玉の多くが連邦政府の施設であることをまざまざと見せつけた今回の「政府閉鎖」だった。

 議会が激しく対立したため、米国の新年度予算が始まる10月になっても予算が決まらない異常事態。10月1日には、政府施設の中でも観光スポットは緊急性が低いと完全に閉鎖された。

 閉鎖が解除された17日、国立絵画館を訪れた。著名な絵画はそのまま。庭園の観葉植物も傷んでいなかったことにほっとした。ただ、カフェは閉店し、ミュージアムショップも商品の段ボール箱が無造作に積み上げられたままだった。

 この間、地元の観光ツアーを請け負う業者はさぞ困っただろう。日本からの観光客を主に受け入れているツアー会社の籾井(もみい)和博社長(51)は「どうなるかと思ったが、皆さんに事情を説明して理解してもらった」と言う。

 苦肉の策で、通常はオプションで扱われる郊外にあるアーリントン国立墓地の衛兵の交代式や硫黄島記念碑見学などを組み入れ、何とかしのいだ。これが「好評だった」。

 とかく評判の悪かった政府閉鎖で普段は日の当たりにくい観光地が評価されることになったのは、わずかな救いかもしれない。

  (斉場保伸)