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ソウル 「読書の秋」に店探し

2014年01月27日

 陽気に誘われ、ソウル市内を散策した。ソウル市庁近くの支局から中心街を北へ歩き、朝鮮王朝時代の王宮である景福宮へ。街路樹の紅葉が美しい通りは市内のあちこちにあるが、中でも私のお気に入りは景福宮の東側にある三清路だ。

 大統領府へと続く道で、ふだんはそれほど歩く人は多くない。しかしこの日はイチョウやケヤキの紅葉がちょうど見ごろで、にぎわっていた。東京では記録的な暖かさや季節外れの台風被害などで秋の気配すら感じることができなかっただけに、11月に赴任したソウルの錦繍(きんしゅう)がいっそう目に染みた。

 三清路を訪ねた理由は、もう1つ。以前のソウル勤務の際に、家族で何度か利用した「ブックカフェ」だ。山小屋風の建物で、ソファに座ってくつろげた。韓国語の不得手な妻も、まだベビーカーに乗っていた娘も写真集や雑誌、絵本をめくっていた覚えがある。
 数年ぶりの訪問だったが、残念ながら門は閉じられ、壁には出版社の看板。後日、その会社に電話を入れると、カフェの建物に事務所を移したため、今年4月に閉店したのだという。

 電話口の担当者は「日本人のお客さんも多かったんですが」とも。「読書の秋」とはいかなかったが、お気に入りの店を探す楽しみがまた増えた。

  (中村清)