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中国・韶山 楽しむ若者道理あり

2014年03月19日

 まるで「毛沢東教」のようだった。故毛沢東主席の生誕120周年を迎えた昨年末、毛氏が幼少時代を過ごした湖南省韶山(しょうざん)市は、真夜中というのに熱狂が支配していた。

 毛沢東の銅像が見下ろす広場は数万人でごった返していた。毛沢東の肖像画を掲げる人、銅像に向かってひざまずく人。貧富の格差など社会矛盾が深刻化する中、等しく貧しかった毛沢東時代への郷愁の強さを目の当たりにした。

 一方で、毛沢東への尊敬からだけで、すべての人が集まっているわけではないということも容易に見て取れた。春節(旧正月)の時のように爆竹を鳴らし続けたり、無料で提供される麺を頬張ったり。祭りや初詣かのように、その場を楽しむ若者の姿もあった。

 毛沢東が死去してから既に37年。湖南省のメディア関係者によると、同時代を生きた人々が毛沢東に寄せる思いは変わらないが、若い世代の関心は、彼の郷里でさえも薄れているという。10年後の節目では、中華人民共和国建国の父はどう位置付けられているのだろう。観光地化も進んだ小さな街で思いをはせた。 (佐藤大)