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ビエンチャン 月よ悩み聞いてくれ

2014年03月24日

 ラオスの首都ビエンチャン郊外の工業団地に進出した日系企業を訪ねた。兵庫県に本社がある電気部品メーカーで、中国広東省にも工場があるものの、人件費の高騰や日中関係の悪化などで厳しくなるなか、中国以外にも工場をつくろうと1年前にラオスに進出したという。

 責任者の日本人男性に話を聞くと、日焼けした顔で「ひと言で言えば20年前の中国ですわ」と苦笑い。電気などのインフラが整っているとの触れ込みで来たものの、実際はトラブル続き。加えて「人柄は良いのですが、勤勉かと言われると」と再び苦笑。現地ガイドによると、ラオスの人は昼食を自宅で取って一休みしてから再び出勤するため「午前中2時間、午後も2、3時間しか働かない」のが普通。このため一から従業員を教育したという。

 造成しただけで空き地が目立つ工業団地。先の男性は、帰宅する女性従業員たちを横目に「今日は定時で帰らせます。満月の日は夜遅く出歩くと不吉だそうですから」と説明した。トラックの荷台に座って談笑する彼女たちはほほ笑ましいが、かえって新興国進出の厳しさも感じさせた。 (新貝憲弘)