2014年04月07日
雪が降っていた。1年ぶりに訪れた米コネティカット州ニュータウンは、まるで時間が止まったかのようだった。あの日も寒かった。
小学1年生ら26人が犠牲となった乱射事件の現場であるサンディフック小学校の建物は取り壊されたが、周辺は今でも立ち入り禁止。犠牲者を追悼する十字のオブジェや白いリボンがあちこちにあった。
住民の口は重かった。雑貨店の店員は「まだ傷口から血が流れている。何も癒えていないよ」とぼそりと言った。警察らの最終報告書は生々しかった。トイレに積み重なった15人の小さな遺体を発見した警察官が息をのんだ様子もあった。
銃撃された2つの教室のうち、1つの教室では生存者は児童たった1人。もうひとつの教室では、先生が容疑者の前にたちはだかったすきに、走って逃げた子どもたちが数人いた。
その中のある男の子は、帰宅後、家の呼び鈴が鳴るたびに両親にこう言った。「悪いやつが追っかけてきてるんだ」
町から悲しみは消えない。でも、もう、あの子が呼び鈴におびえていないことを祈る。 (長田弘己)