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上海 金満巨竜真っ盛り

2014年04月15日

 異国の街をぶらつくのは楽しい。まして、かつて魔都とも呼ばれた上海なら、なおのこと。

 屋台に飛び込み、市場で野菜を買い、目をむくのは物価の高騰。3度目の中国勤務だけに、物価の変遷を通して、危うい金満国家へとばく進する巨竜をウオッチするのも一興かと。

 1997年から勤務した北京。安食堂の瓶ビールは1本1元(当時12円)だった。同じ銘柄でも「純生」と少しきばると2元。2003年からの北京時代にビールは2倍以上に。今や世界第2の経済大国の中国。上海でご当地瓶ビールは12元。輸入品は20元以上。

 中国はモノが安いなんていつのことやら。日本の有名チェーン店の牛丼は、円安の影響もあり上海の方が高い。あれもこれも10倍以上。不動産は狂乱。上海中心部には億ションしか見当たらない。富裕層は「高ければ高いほど良い」とバブル真っ盛り。でも、しょうゆで煮込んだ屋台のゆで卵が1個2元と5倍に高騰しては庶民はやっていられまい。

 中国古典に「年豊かなれば廉譲多く…」というが、金満巨竜の底辺から、ぎしぎしと格差のきしみも。 (加藤直人)