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北京 なぜ名古屋深まる

2014年05月22日

 北京に前から気になっていた店があった。その名も「名古屋理髪店」。胡同(フートン)と呼ばれる狭い路地で、看板を掲げており、名古屋出身者として行かずにはいられない。

 中に入ると、普通の床屋さんといった風情。決してきれいとは言えないが、結構はやっている。若い男性理容師に尋ねてみた。「なぜ名古屋なの?」。名古屋や日本と関係があるのだろうと期待していたのだが、答えは「私も知らない」。

 十数年前に現在の経営者が引き継いだ時には、既にこの店名だったとのこと。店名の由来を聞いたことはなく、前の経営者の連絡先も知らないらしい。「名古屋に行ったことがあるとか留学したことがあるとか、そういう話も聞いたことがない」

 名古屋について話を振っても、理容師も他の客も興味はなさそう。パーマをあてながらスイカの種を食べていた年配の女性は「この店は日本と何にも関係ないんだから」と、“招かれざる客”にちょっと迷惑そうでさえあった。

 15元(約250円)で、可もなく不可もない髪形が仕上がったが、店名の由来がいまだに気になる。 (佐藤大)