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ペンニョンド 砲撃より客足が心配

2014年06月16日

 「北朝鮮軍の砲撃100発が韓国側海域に落下」「白●島(ペンニョンド)の住民に韓国軍が退避令」-。こんな原稿を書いていて、気に掛かったのは現地の島の様子だ。砲撃翌日、ソウル支局から電話で取材してみたが、こちらの予想はいい意味で裏切られた。

 「砲撃の音はそんなに聞こえなかったし驚きもしなかった。不安感? ないよ。全然ない」。民宿を営む女性は砲撃時、近くの待避所に逃げたというが、話しぶりから緊迫感は伝わってこなかった。

 ペンションの男性は庭の手入れをしていて、避難すらしなかったという。「韓国軍は毎日のように射撃訓練をしている。だからここの住民は無感覚だ」と淡々と話す。

 「ソウルは大丈夫?」。日本にいる友人から気遣われることがある。北朝鮮の核やミサイルの脅威が報じられるせいだが、ソウルの街中でびくびくしている市民はほとんどいない。

 韓国最西端の島も同様なのだろう。現地は落ち着いていたが「心配なのは観光客が来なくなること」と男性。安保と観光の間で暮らす島の現実を突き付けられた。

  (中村清)

(注)●は令の右に羽の旧字体