2014年06月19日
「これだけ?」と拍子抜けした。マレーシアの首都クアラルンプール国際空港での搭乗前のセキュリティーチェック。
金属探知機のゲートをくぐる前に「ベルトを外せ」と言われたことこそ、この空港では初めてだったが、靴を脱げとも言われず、探知機が反応しても、服の上からボディータッチされただけで、係官は「オーケー、サンキュー」と笑顔を見せた。
マレーシア航空370便の失踪取材の帰りのことだった。政府は連日会見を開いたが、事件か事故かすら分からずじまい。ナジブ首相は明確な証拠を示すことなく、ハイジャックを示唆するなど、情報開示の不十分さに不満が残った。
首相がハイジャックの可能性に言及したほどだから、空港のセキュリティーチェックは相当厳しくなっているに違いないと予想したが、実際は違った。失踪以前と変わった点といえば、出国審査時に指紋を確認されたことぐらい。手荷物チェックのやり方は変わっていなかった。
「ひょっとしたら失踪の原因はハイジャックではないのでは・・・」。不信感を拭えないまま機上の人となったのだった。 (寺岡秀樹)