2014年06月27日
同僚を見回せば、記者には飲んべえが多い。国内では原稿を仕上げると、立ち飲み屋に足が向いた。中国での楽しみは、地方によって多種多彩な屋台。
北京では、ゆでたトウモロコシ、焼き芋、少数民族料理の羊串焼きなどに舌鼓を打った。
広東省の掲陽という街を取材で訪れた。「食は広州にあり」といわれるが、この街の料理は潮州料理の影響が色濃い。
香港にも近いため、街の至るところに、広東語で「大牌●(ダイパイドン)」と看板を掲げた屋台があった。いけすや大皿の上に並べた魚介類や野菜を選び、「ニンニク炒め」などと自分で調理法を指示して注文する。
ギョッとしたのは「猫肉あります」の張り紙。むろん、食は民族や地域の伝統文化であり、よそ者が口をはさむのはやぼ。
でも、「ミャアミャア」と聞こえてきた鳴き声は、少し切ない。あれは通りすがりの野良猫か、それとも、その時を待つ商品だったのだろうか・・・。
南国の心地よい風を感じ、屋台では酒が進む。中国の古典に「花は半開を見、酒は微醺(びくん)に飲む」とあるが、満開や泥酔を求めぬ風流とは縁遠い、広東の屋台酒だった。 (加藤直人)
(注)●は木へんに當