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ロンドン これが戦う国の論理

2014年07月15日

 「君たちの銀貨を、弾丸に変えよう」

 今年は第一次世界大戦が始まって100年。英国の新聞タイムズが4月、国民を戦争へと駆り立てる当時のポスターを復刻させ、毎日折り込んでいた。

 その中には、初めて編成された空軍への志願兵を募るものや、女性に対して夫や恋人に陸軍入隊を促すよう勧めるポスターもあった。

 4年にわたる長い戦いとなった第一次世界大戦は、資源ばかりか国民も総動員した初めての戦争だ。戦争を遂行する国家の非情さは「ロンドンの若き女性へ」と題したポスターにもよく表れている。

 いわく「君のすてきな彼はカーキ(色の軍服)を着ているか? もしそうでなければ、着るべきだとは思わないか? もし彼が、君やこの国のために戦う意味はないと考えているとしたら、彼は君に値する男だと思うか?(中略)もし彼が国王や国への忠誠を怠る人物ならば、彼が君をおろそかにする日がやがて来るだろう。そのことをよく考えた上で、彼に言おう。今すぐ陸軍に入ってと」。

 この戦争で英国は約90万人が戦死した。 (石川保典)