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イタリア・ウディネ 過激「ピンクの聖書」

2014年07月25日

 歴史的に著述業の社会的地位が高いイタリアでは、新聞記者は医師や弁護士、エンジニアらと同格視される。国家資格が必要で、長い見習いを経て、ようやく国家試験を受験。晴れて資格を得られるのは、早い者で30歳代前半だという。

 それだけに記事への信頼は絶大。サッカー日本代表のイタリア人指揮官ザッケローニ監督の昔を取材するため、かつて彼が率いた北部ウディネのプロチームを訪ねて驚いた。戦績などの公式資料を求めると、広報は「新聞の保管しかないです」。

 国内最大の新聞は、ピンク色の紙で知られるスポーツ紙ガゼッタ・デロ・スポルト。国民が熱狂するサッカーの話題が大半だ。試合後の選手の採点と辛口の寸評が人気で、別名「ピンク色の聖書」と呼ばれる。

 強豪ACミランに所属する日本代表の本田圭佑選手も今季、記者の“餌食”に。ある日の寸評は「ホンダ、火星人」。孤立したプレーの例えだ。他の選手の批評も扇情的なものが多い。現地の記者に理由を聞くと「読者が喜ぶ。他人の幸せに誰が関心を持つんだ?」。まんざらウソではないが、まずは選手に同情したい。 (小杉敏之)