2014年08月19日
タイのクーデターが5月22日夕に宣言され、その日の午後10時から夜間外出禁止令が発令された時、各地のコンビニエンスストアで珍事がおきた。
閉店しようとしても、店のシャッターが閉まらないのだ。24時間営業だから、シャッターを閉めるということが想定されていない。そもそも、店員や店長が閉め方を教わっていないのだ。
ウィナイさん(32)もその1人だ。1年前から大手コンビニチェーンの店長をしているが、その日、「午後10時までに閉店するように」との指示が出て、大あわてだった。シャッターを下ろそうとしても、がちがちに固くなっていた。4人の店員といろいろ試したが、動かない。店を閉めないと、帰れない。
夜間外出禁止令の初日だ。何が起こるか分からない。「家に帰る途中に軍に捕まったらどうしよう」との不安がよぎる。50代の近所の男性に助けてもらい、ようやく閉めることができた。「これで家に帰れる」。店員から歓声が起きたという。
「店が24時間営業できるのは平和の証しなんですね」。ウィナイさんの言葉には実感がこもっていた。(伊東誠)