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北京 ベテラン記者不在?

2014年08月23日

 中国メディアの記者は若い人が多い。記者会見では若い女性が大半を占め、私を含め中年男性が多い外国メディアとは対照的な光景となる。若手が活躍できることは悪いことではないが、逆に言うと30代以上が極端に少ない。中国紙で働く20代の女性記者に理由を尋ねるとこんな返事が返ってきた。

 一つは待遇の悪さ。10年前は高給取りの部類だったが、この10年間給料はほとんど変わっていないという。平均収入が数倍になったことを考えると厳しい。

 もう一つは「報道の自由」がないこと。政治的に敏感な話題を取り上げることはタブーか、できても政府が作った原稿をそのまま掲載するだけ。「原稿一つ出すのに編集トップまで何段階ものチェックがある。理想に燃えてマスコミに入ったのに失望して辞めるのよ」とこぼす彼女は涙ぐんでいた。

 では日本のメディアはどうか。中国報道一つとっても脅威を強調したり中国を批判する論調が目立つ。「日本メディアの報道を見ていたら日本も報道の自由がないと思っていた」と語る彼女。それを一笑に付す資格があるだろうか。 (新貝憲弘)