2014年08月24日
ロンドンの地下鉄入り口で、新聞の売り子が叫んでいる。
「ニュースパイパー、ニュースパイパー」
「ニュースペイパー」(新聞)のことだ。
「a」を「エイ」ではなく「アイ」と読む、いわゆる労働者階級に独特な発音から「パイパー」となる。
混んでいる地下鉄のホームで流れるアナウンスも、「スペイスを探して奥に進んでください」が、「スパイスを…」となるので、初めて聞いたときは妙な感じだった。
英国には、階級や地方によってさまざまな英語がある。地方からロンドンに出てきた労働者が都会の英語にまごつくさまは、ミュージカルで笑いの種になったりもする。
貴族階級の英語は抑揚が激しい。まねるには、やや胸をそらせて、もったいぶって話す。語尾に余韻を残すと、なお良い。
その“高貴な”英語は、シルクハットをかぶって馬車に乗っていた時代には、ロンドンの街並みによく似合っていたに違いない。今では高慢な印象を与えるのを避けようと、あえて“平民”に近づけた英語がはやっているそうだ。 (石川保典)