2014年09月25日
マジか。思わぬ偶然に、ほくそ笑んだ。ロンドンの高級住宅地チェルシーの街角で妻を待っていると、上品な水色の上着を羽織った男性が近づいてきた。
15メートル、10メートル、5メートル・・・。そして目の前に止まった。こちらが小道をふさいで立っていたからだが、周囲の通行人も注目している。男性の名はローワン・アトキンソン。日本人には「ミスター・ビーン」と言った方が分かりやすい。世界的人気を誇る英国人コメディアンだった。
職業柄、記者会見などで著名人と同じ場に居合わせる機会は多い。ただ、ロンドンは「演劇の都」だけあって、知名度の高い歌手や俳優らが、ふらりと街中に“出没”。記者も何度か幸運に恵まれた経験がある。
地元の人たちの受け止めは、おおむね紳士的だ。アイドルグループなどの「追っ掛け」を除けば、目の前でカメラを向けたり、サインをせがんだりはしない。あくまでプライベートの時間を尊重しているのだという。
ミーハーな心は誰にもある。ここが日本なら・・・。ミスター・ビーンに道を譲った数分後、遅れてやって来た妻の血相が変わった。「なんで、写真を撮らなかったのよ!」(小杉敏之)