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ネピドー 気になる「タナカ率」

2014年09月16日

 恥ずかしながら、最初は顔に何かいたずらされているのかと思ってしまった。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合の取材でミャンマーに到着すると、女性たちの顔におしろいのようなものが塗られている。顔全体ではなく、頬やおでこ、鼻の頭など塗り方に個性がある。街行く女性を見ると、かなりの確率だ。

 初めてのミャンマーで知識が乏しく、それがミャンマーの伝統的な化粧品「タナカ」だと知るまでに少々時間を要した。「田中さん」から来ているのかと想像もしてみたが、そうではないらしい。タナカという木をすりつぶして使い、日焼け止めの役割も果たしているとのこと。年少の男の子が使っているのも散見された。最初は奇異にも映ったが、見慣れてくると何だか愛嬌(あいきょう)を感じる。

 ミャンマーは民主化され、経済開放が進んでいる。地元の女性に聞くと、それに伴って若い世代では最近、タナカではなく一般的な化粧品を使う女性も増えているとか。開放がさらに進んだ時、「タナカ率」はどう変化しているのだろう。いつかまた訪れた時、この目で確認してみたい。 (佐藤大)