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ソウル 面接官の心はほっと

2014年09月28日

 韓国のある団体から頼まれ、韓国人職員の日本語能力を評価する面接官を務めた。日本での駐在勤務を希望する職員に日本語で質問を投げかけ、これに対して相手が内容を理解して的確に答えられるかをチェックしてほしいとのことだった。

 男女1人ずつと1対1で面接し、幾つか質問をした。「日本で取り組んでみたい仕事は」「休日のストレス解消法は」。結論からいえば、2人とも日本語能力は全く問題のない水準だった。日本で勤務しても、違和感なく日本人とビジネスに関する会話ができるだろう。

 驚いたのは、会話の能力以上に、仕事を通じ、日本と韓国とを結び付けようとの熱意、日本への愛情を2人から感じたことだ。ソウルで取材していると、政府間の冷え込みだけでなく、市民レベルでも反日感情の悪化を感じる。こうした人たちがいることにほっとした。

 面接終了後に担当者から評価内容を聞かれ、2人とも日本で新たに挑戦したい仕事の内容が具体的でユニークである点を説明したところ「それよりも、日本語の能力はどうでしたか?」。そう、そうでした。面接官の方は落第かな。(中村清)