2014年10月11日
「君は腕に入れ墨なんかして、ちゃんと仕事をしているのか!」
長蛇の列の先頭にいた初老の白人男性が、順番を抜かされたと言って怒りだし、脇にいた黒人の警備員に八つ当たりだ。
すると列の後ろに並んでいた黒人男性が「おれも入れ墨しているが、仕事はしてるぜ」と混ぜっ返した。長時間待たされてみんな気が立っているのだ。
ワシントンの中心部にある社会保障事務所。身分証明(ID)の機能を果たし、米国で暮らしていくには欠かせない社会保障番号を取得しようと、さまざまな人種の人々が訪れる。
これに、年金、社会保障給付金の手続きのため高齢者や障害者も加わってごった返す。応対する窓口は5つあるが、常時開いているのは2つか3つだ。
昼時になって、おばあさんが「私、朝食も取っていないのよ」と警備員に泣きついた。警備員は気の毒そうに「平均で2時間待ちですな」。
その平均待ち時間を30分超過して、ようやく申請手続きを済ませた。ただし、番号を受け取るのは1カ月先だ。
米国生活の第1関門では、忍耐力が試される。 (青木睦)