2014年11月12日
米ニューヨーク・マンハッタンのグランドセントラル駅から郊外に向かう列車に乗る時、少し気構える。同じ路線でも乗る列車によってホームが違う。
2つのフロアにわたり、44のホーム、67の番線を持つ巨大ターミナル駅。短い間隔で発車するラッシュ時は、1本乗り遅れると、次の列車のホームを確認して階段を駆け上る。たどり着いた時は列車が出た後だったということもあった。
このシステムを続けている理由が何かあるはずだ。利用者にどう説明しているのか。見学ツアーに参加してみた。
コンコースの天井に描かれている星座の一部は、左右反対になっている。地下には核戦争に備えて作ったシェルターがある。100年以上の歴史を持つだけにエピソードも豊富だ。
ガイドの女性にホームについて質問すると「昔の名残で、次々に到着する列車をどのホームに入れるか、管制室で調整しているからよ」と答え、付け加えた。「私も使いづらいと思うわ。でも不便を通じて歴史を感じるのも、すてきじゃない」
特別な秘話はなかったが、この街で暮らすこつを教えてくれた。(北島忠輔)