【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. アジア
  5. 台北 若者の関心 こちらは

台北 若者の関心 こちらは

2015年01月06日

 台湾の統一地方選で与党国民党が惨敗した。敗因として強く感じたのは今春の「ヒマワリ学生運動」の影響だ。中国とのサービス貿易協定発効に反対して立法院(議会)を占拠した運動で、若い世代が政治に強い関心を持つようになった。

 運動に参加したという黄さん(25)は「運動期間中、台湾の政治や民主について討論した。今回の選挙で理性的で平和に意思を示したかった」。別の男性会社員(27)は「若い世代の多くはこれまで親が決めた候補者に投票するか無関心だったのが、運動を機に自分で考えるようになった」と話してくれた。

 台湾では若い世代に閉塞(へいそく)感が広がっているという。経済は中国との協調政策で回復基調にあるものの、恩恵を受けているのは中国に進出、輸出の企業で若者の賃金は据え置かれたままとの思いが強い。そうした不満が政治を変えようという新たな動きにつながったようだ。

 さて日本はどうか。経済格差など置かれた状況は台湾に似ているが、台湾紙の知人に「日本の若者の投票率はなぜ低いのか」と聞かれて返す言葉が見つからなかった。 (新貝憲弘)