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ソウル 鐘に祈る両国の協調

2015年02月03日

 韓国の正月は少し味気ない。旧正月(今年は2月19日)を祝う伝統があり、官公庁や企業は1月2日から仕事が始まる。日本のように、寺社に初詣に出掛ける風習もない。

 そんな中で唯一、ソウル中心部にある鐘楼「普信閣(ポシンガク)」の前には毎年、大みそかに大勢の人が集まり、午前0時に鐘を突くのに合わせてカウントダウン行事を行う。単身でソウルに滞在していた2年前には、ここで鐘の音を聞いた。今年も寒さの中、10万人余りが集まったという。

 今年は行事には加わらなかったが、初詣の気分を味わいたいと、2日に普信閣に寄った。案内板を見ていると「1919年3月に独立宣言が行われ、光復(植民地支配からの解放)翌年に三・一節記念行事が行われた意味深い場所」との説明が目に留まった。以前から韓国の人が新年をなぜ普信閣で迎えるのかが疑問だったが、独立運動にゆかりの地との説明に合点がいく思いがした。

 今年は植民地支配の解放から70年、日韓国交正常化から50年の節目の年。冷え込んでいる日韓関係が何とか良い方向へ向かうようにと、鐘に向かって手を合わせた。 (島崎諭生)