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ソウル 麻薬のり巻きに舌鼓

2015年02月10日

 「麻薬のり巻き」という名前の一品を食べに行った。ソウル中心部にある広蔵(クァンジャン)市場の一角。屋根付きの狭い通路を探していくと路上に屋台とテーブル、いすが並んでいた。

 家族3人でいすに座り、麻薬のり巻き、いなりずし、おでんを注文。紙の皿で出てきた名物に、特に変わったところはない。ご飯をのりで巻いた日本で言う細巻きだ。

 中身は炒めたニンジンと、たくあん。そのままでも、しょうゆをつけてもいいのだが、全くクセのない味だった。その素朴さがクセになる。わが家は本来、小食だが、山盛りののり巻きはあっという間になくなり、もう一皿おかわりした。

 同じテーブルの2人組の女性が、ちょっと得意げな表情で話しかけてきた。「おいしいでしょう? この屋台ののり巻きが最高よ」。女性のうち1人は、市場内で衣料品店を営んでいて、先代が屋台を切り盛りしていた時代から通っているとか。

 市場内には「麻薬のり巻き」の看板を出す屋台が何軒も。どこが元祖か本家かは分からなかったが、どの店先でも買い物客や観光客が韓国版B級グルメを満喫していた。 (中村清)