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米キーウェスト 文豪愛した町の変貌

2015年02月25日

 米国本土の最南端にあるフロリダ州キーウェスト。世界を旅した文豪ヘミングウェーも愛した小さなバーで、隣り合わせた老人が話し掛けてきた。

 「ヘミングウェーが暮らしていた1930年代は素朴な港町だったんだ。それが今では…」

 人口2万5000人の観光地に年間400万人が訪れる。「何がこの街を変えたのか。港に行けば分かるさ」と老人は言った。

 水平線を望む港で視界を覆ったのは、寄港する豪華客船。朝になるとなだれ込む観光客を目当てに、土産物店が並び、大手飲食チェーン店が軒を連ねる。

 その観光客の多くが足を運ぶのが最南端地点。石碑に、キューバまで90マイル(144キロ)と書いてある。

 折しも、半世紀の断絶をへて米国とキューバの国交回復交渉が始まった。旅行会社は早くも旅行解禁の時を待っている。

 米国に亡命したキューバ移民に聞くと「国民の生活は苦しいが、ハバナは昔も今も美しい」と口をそろえる。

 そこに豪華客船が寄港し、観光客が押しかけるようになったら…。訪ねてきた記者に老人が言うかもしれない。「昔はよかった」と。(北島忠輔)