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サンフランシスコ 万年クリスマスの家

2015年03月09日

 クリスマスはもはや遠く、新年も過ぎてしまって、気分は平常心。ところがわが家の近所には、まだ屋外をクリスマスの電飾でギラギラさせている家がある。「まだ」というか、この家は1年中クリスマスなのだ。

 7、8年前までは12月初旬に飾り付けを済ませ、年明け1週間ほどで取り外す、ごく普通の家だった。ある年、春になっても夏になってもクリスマスのままで、そのまま次のクリスマスになってしまった。

 以来、年中クリスマス。角地に立つ平屋の屋根の縁に沿ってつららを模した豆電球が垂れ下がる。家をぐるりと囲むように雪だるまやツリーやトナカイをかたどった数千もの豆電球が点滅する。その一角だけがこうこうとした“ネオン街”だ。

 家主は70歳代の女性で、毎日のように孫のタイラー君が家事の手伝いに通ってくる。彼は「おばあちゃんはいつもクリスマスなんだ。恥ずかしいよ」と言うが、夕刻の屋内には仲の良さそうな2人の姿が見える。

 近所には「どうにかならないかしら」と言う人もいるが、大した問題に発展することなく、きょうも日没と同時にクリスマスを迎える。 (岡田幹夫)