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ニューヨーク 日常の中に潜む差別

2015年03月27日

 メキシコ出身のカルメンさん(50)が米ニューヨークの大型店で買い物をしていると、よく店員と間違われ、他の客から声をかけられる。「年がら年中よ。本当に嫌になる」

 黒い髪を持つ彼女は、ヒスパニックやラティーノと呼ばれる中南米系住民だ。「その店で買い物をしているのは白人で、働いているのはラティーノばかり。だから、私も客じゃなくて店員だと決め付けているのよ」と憤る。

 別の店では、買い物をしていると、白人の店員がすぐ「何かお探しですか」と寄ってくる。「『見ているだけです』と言っても、商品を整理するふりをしながら近くで見張っている。ラティーノを信用していないの」

 米国での黒人差別はよく知られているが、ヒスパニックに対する差別もまた根強い。「不法移民」「貧困」などのイメージも相まって、偏見がついて回る。英語の発音がおかしいといじめられることもある。

 「これまでで一番嫌な経験は?」と尋ねたら、彼女はこう答えた。「いろいろあるけれど、結局のところ、毎日ちょっとずつ小さな差別を感じる、ということなのよ」 (吉枝道生)