2015年04月07日
金融機関の高層ビルが林立し都会の街並みが広がるシンガポールの中心部。その一角に、東南アジア特有の雑多な雰囲気を漂わせる空間がある。
ラオ・パ・サ・フェスティバル・マーケット。飲食の屋台が60軒ほど集まるフードコートだ。ビルに囲まれた平屋で、よく目立つ。オフィスで働く人たちのほか、観光客にも人気がある。年配のタクシー運転手が「あそこへ行けばシンガポールが分かる」と案内してくれた。
中国福建省がルーツという焼きそば、マレー半島の米麺、インドカレー…。多彩なメニューは、シンガポールを構成する主な民族の料理だと気づく。中華料理とマレー料理が融合してできた味もある。店によって中国語、マレー語、英語が飛び交っていた。
夜になると、すぐ前の道路に「サテ」と呼ばれる串焼きの屋台も並ぶ。煙がもうもうと立ち上り、深夜まで騒々しい通りは「アジア感」がいっそう増す。
オフィス街で異彩を放ちながら、食べ物を通じてシンガポールの成り立ちを感じさせてくれるマーケットは貴重な場所。屋台文化を守るためにも、長続きしてほしい。 (大橋洋一郎)